スウェーデンのストックホルム出身の4人組ロックバンド、The Royal Concept。
2019/05/24に発売された彼らの2ndアルバムである「The Man Without Qualities」をレビューしてみました。
参考になれば幸いです。それではどうぞ。
アルバム評価
大人なロックへの変貌と物足りなさ
前作「Goldrushed」のような勢いのあるキラキラしたダンスロックは封印されました。
今後の方向性としては、アルバムの後半にあるようなオシャレで大人な雰囲気の曲がメインになってくるのかなと思いました。
踊らせるばかりではなく、ゆったり体を揺らしながら音を楽しんでもらうということですかね。
収録曲が8曲とフルアルバムとしては異例の少なさです。しかも先行シングルから3曲入っているので、完全な新曲はわずか5曲ということもあり物足りなさは拭えません。
せっかく新しいThe Royal Conceptが見えてきたので、もっともっと聴きたかったという思いが強いです。
どうしても前作のキラキラダンスロックのイメージがあり、またこちらもそれを期待していたので、そういう意味で低めの評価としています。
ただ、「The Royal Concept」というフィルターを外して聴いてみるとそこまで悪いアルバムとも思わないので、数年後に再評価をすると全然違う結果になるかもしれません。
楽曲評価
Wake Up
アルバムの1曲目って結構重要だと思っていて、前作「Goldrushed」のように1曲目から人気曲をぶつけて勢いを付けるようなパターンや、インストや少ししっとりした曲から始めて全体のバランスをとるようなパターンがあると思うのですが、この曲は後者のパターンですね。
Passion Pitを彷彿とさせるようなキラキラした幕開けからゆったりとかつ単調に進んでいき、終盤にかけて徐々にエンジンをかけていく感じで、
これぞ「アルバムの1曲目!」と言えるような、この後に続く曲たちへの期待感を強く持たせてくれるような曲になっています。
次の曲への繋ぎ方があまりに自然過ぎて気が付けば次の曲が始まっています。
The Man Without Qualities
アルバムのタイトル名になっているこの曲。
1曲目の「Wake Up」から世界一スムーズなリレーで始まるのは、The Royal Conceptお得意のポップでキャッチーなイントロ。
少しフィルターがかったボーカルとシンセがシンクロするサビのメロディが非常に特徴的です。
5:22と長い曲になっていますが、3:25からテンポを落としたややミステリアスな雰囲気へと変貌を遂げることから、二部構成のようにしているのかもしれませんね。
さすがタイトル曲だけあって、これまでやってなかったような新しい取り組みを行っているような印象です。
Wild Things
このアルバムで唯一と言える爽やかで疾走感溢れるロックナンバー。
「W〜ild Things」と歌っているところは色んな音を重ねた複雑なコーラスになっていますが、ライブでは拳を上げて合唱すること間違いなしです。
この曲に限らず、前作で特徴的だったボーカルのデヴィットの高音ヴォイスは封印され、やや低音気味に歌い上げる曲が多くなっていますね。
Need To Know
アルバムが発売される前に先行シングルとして公開されていたこの曲。
ミドルテンポでソウルな雰囲気を醸し出していて、これまでのThe Royal Conceptのイメージとは違う大人なサウンドになっています。
この曲を3年半ぶりの新曲として彼らがリリースしたということは、前作までのキラキラしたダンスロックからまた違った方向へ進もうとしているという意思表示なのかなと感じました。
Why Why Not
ゆったりとしたダークなサウンドが特徴の一曲。
特にBメロのメロディが不思議というか若干の民族音楽感があります。
ブラックミュージックから影響を受けてそうな感じがします。
「The Royal Concept」の曲というイメージで聴いているので☆6とあまり高くつけていませんが、実は気付けば頭の中で流れてる率が高い不思議な曲です。
今後スルメになる可能性を秘めてますね。
Kick It
先行シングルからの一曲。
タムをドコドコ叩き、ギターを速いテンポで弾くガレージロック。
まるで初期のArctic Monkeysのように荒々しく勢いのある曲です。
ギターとシンセを重ねたり、ギターも低音と高音でコーラスさせたり、ボーカルに強めにエフェクトをかけたりと単純なガレージロックに終わらないのが彼ららしいですね。
これはライブでも盛り上がりそうな曲です。
Silver Lining
こちらは打って変わって、オシャレでブルージーな一曲。
これまでの「踊らせる曲」から「聴かせる曲」へ変わってきているのがよくわかりますね。
Up All Night
先行シングルからの一曲。
一定のリズムで進行する優しい雰囲気のメロディラインにデヴィットの囁くようなボーカルが良くマッチしていて、新しいThe Royal Conceptの世界へ来たという感覚を覚えます。
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